迷子

会社に出勤すると、MOさんが近づいてきた。
「子犬が迷い込んでるよ」
「ほんとに?!」コートも着ずに外へ飛び出し、2人で会社の裏の駐車場の1番奥へ行ってみた。
雪の中、寒そうに震えながらこっちを伺ってる犬がいた。
犬種はシェットランド・シープドッグらしい。綱も首輪も付けていない。純血のようだ。
MOさんが同じ犬を飼ってるのだ。
http://www.animal-planet.jp/dogguide/directory/dir13000.html#health
複数の人が近づくと恐いらしい・・・警戒して寄って来ない。
なにしろ仕事中なので、いったん社内に戻った。


お腹すいてるんだろうなぁ・・でも仕事中に食事買いに行けないしな
考えた結果、キレイに洗った灰皿にコーヒーのミルクを3つ入れお湯で溶いてみた。
これなら味ついてないし、暖かいし、カロリーあるし、飲んでくれないかな?
それを持って駐車場にひとりで行ってみた。
ひとりだと警戒せずに駆け寄って来た。ミルクを与えてみると夢中で飲み始めた。
「やっぱ、お腹空いてたんだね〜」となでなでしたり、体についた汚れを取ってあげてたら
「ワン!!!」と左手かまれそうになった。
ああ〜ごめんねぇ。そりゃ食事中に顔触られたらウザイよね(;;)
食事が終わったら、トトト・・・っと警戒しつつ離れていった。
とりあえず飲んでくれて良かった。空っぽの灰皿を手に仕事に戻る。
「これだけ慣れてないと保護できないな〜何日かエサあげてみて慣れてきたら保護して地元のFMで呼びかけてもらおうか」
と思いつつ仕事をしてたら、太陽の光がパァっと差してきた。
すると、会社の前の道を茶色の後姿が遠ざかって行く。
足取りも軽く犬は行ってしまった。


暖かい食事も居心地のいい寝床も、綱で繋がれる事に比べたら不必要なものなのか。
でもここの冬の寒さは命に関わるよ。寂しくなったら戻っておいで。